佐藤 康成
ロート製薬 基盤技術研究部
皮膚系研究グループ マネージャー
毛穴ケアの可能性
毛穴の変化によって顔全体が老けた印象になったと感じることはないでしょうか。
洗顔やふき取り化粧水で落とす、美容液での保湿ケア、美容施術など、
世の中に毛穴ケアの方法は数多くあります。
しかし、未だに明確なケア方法が確立されていない分野が、毛穴ケアではないでしょうか。
毛穴は肌表面の見た目だけに注目しがち ですが、肌構造としては、真皮の構造変化が影響します。
穴が大きくなれば、重力にともない構造自体が つぶれ、深くなればその分暗く、影になるのです。
そして、影になった毛穴は顔全体を老けた印象にしてしまいます。
ロート製薬では、誰もが 持つ毛穴周りの悩みを解決すべく、毛穴の深い部分に着目しました。

毛穴の構造を立て直すエラスチンとフィブロネクチンの存在
エラスチンは、皮膚の弾力に、コラーゲンは皮膚の固さを保つ役割があります。
エラスチンはその伸び縮みする特徴ゆえ、皮膚と血管、表皮と真皮など、
別々の組織のつなぎ目に多く存在するという特徴があります。
そして、毛穴は表皮から皮下組織まで、深く接着しているので、
毛穴全体にエラスチンは多く分布しています。
真皮内にあるエラスチンとコラーゲンの線維の土台となるのが、フィブロネクチン。
細胞の足場としても重要な物質です。
このフィブロネクチンが増えることで、エラスチンも生成され、
毛穴の構造を正常な状態に戻すことができるのです。


美容クリニックとロート製薬の共同研究により
HIFUの真皮再生メカニズムを解明
HIFUは高密度焦点式超音波で皮膚の奥にあるSMAS(表在性筋膜)を引き締め、
たるみを改善する施術ですが、今回新たに、真皮層に対する再生機能メカニズムを解明しました。
また根深い毛穴には真皮再生機能があるHIFUが選択されている事実も確認できました。
三次元培養人工皮膚にHIFUを照射し、2万以上の遺伝子解析を行いました。
その結果、多機能遺伝子のWnt2が増加していることを確認いたしました。
Wnt2は、フィブロネクチンの増加やそれに伴うコラーゲンやエラスチンの増殖など、
人の肌再生に非常に重要な要素を持っています。
Wnt2が増加し、フィブロネクチンが増えることで、
毛穴の構造を立て直せることが期待できます。


Wnt2に働きかけフィブロネクチンの形成を促進する
2つのエキスを発見
今回約300種の中から、遺伝子Wnt2へアプローチできる2つのエキスを見出しました。
このコンプレックスがWnt2の発現を約2.4倍上昇させ、フィブロネクチンの形成を促進することで、
毛穴周りを支えるエラスチンの増加が期待できます。

肌構造を研究し続けているからこそたどり着けた毛穴ケアの新しいアプローチ。
私たちは今後も皮膚のプロフェッショナルとして、
お客様の様々なお悩みに対する研究をしていきたいと思っています。