episteme
SCIENCE STORY 02

ハリ再生の鍵、
脂肪幹細胞を活性化。

石井 強

ロート製薬 基礎研究開発部

部長

肌の再生を目指し、まず注目したのが線維芽細胞の働き。

コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などのタンパク質を生成し、
美肌の生命線ともいえる細胞ですが、加齢とともに機能が低下するとコラーゲンなどの量も減少し、
肌老化に繋がるため、線維芽細胞をいかに活性化させるかが若々しい肌を保つ秘訣でもあります。

一方で脂肪幹細胞は細胞の活性化を促すたんぱく質を豊富に産生することから、
この働きを線維芽細胞と比較してみたところ
コラーゲン産生能力においても線維形成能力においても、
線維芽細胞と同等以上の効果があることが確認できました。

脂肪幹細胞が
肌再生の鍵となる事実

さらに線維芽細胞は脂肪幹細胞と同じ環境下にあると活性化するということもわかったため、
皮下組織にいる脂肪幹細胞を真皮の線維芽細胞の近くに移動させることが肌再生の要になると考えました。
脂肪幹細胞にはもともと創傷部位を感知して移動し修復するという働きがありますが、
私たちがみつけたコンプレックスはこの働きを高めました。

さらにもう一つのアプローチとして
脂肪幹細胞自体を増やすことにも成功しました。

これらの結果から、
弱ってしまった線維芽細胞の働きをレスキューする脂肪幹細胞を増殖させ、
さらに線維芽細胞の近くに届けることで、
ハリのある肌を取り戻せる可能性が示唆されました。